今回は、建物下の地盤沈下のスピードの違い(不同沈下)による短期間での床高さの逆転現象についての報告です。
プロローグ:床鳴りがしなくなった。
2025年5月、床鳴りの修理をご相談いただいていたお客様から、「音がしなくなったので少し様子を見たい」とのご連絡がありました。
床鳴りは、湿気や乾燥による木材の伸縮で一時的に収まることもよくあります。「また、床なりしだしたら連絡しますとのことで」様子を見ていただくことになったのですが……。
約9か月後
年が明けた1月、「また音がし始めた」とのことでお伺いしてみると、温度や湿度が影響しているのか、現場に到着したときには再び床鳴りは消えていました。
現在の床の高低を確認
実は、最初のご相談時に「床の高さ」をレーザー測定器で計測していたのですが、今回改めて測り直して、一瞬、自分の目を疑いました。
レーザー測定器での高さ測定原理

わずか9ヶ月余りの間に、床の高低が変化していたのです。(前回は2025年4月測定)
2025年4月は、部屋の中央が、周囲の床より1~2mm低かった。
2026年1月は、部屋の中央が、周囲の床より2~5mm高かった。
なんと、以前は、周囲より低かった場所が、いまは周囲より高くなっていました。その差は合計で3mm〜7mm。
これほど短期間に床のレベル(高さ)が逆転するのは、経験したことがありませんでした。
地盤沈下の「スピードの差」(不同沈下)が招く現象
なぜ、このような逆転現象が起きたのでしょうか。
そこには、「地盤沈下のスピードの違い」が関係していると考えられます。
建物が建っている地盤は、一様に沈むわけではありません。
• 部屋の端(基礎があることが多い部分)
• 部屋の中心部(床を支える鋼製束がある部分)
これらは支えている重みもそれぞれ異なります。また、地盤の強さも施工条件などでそれぞれ異なります。
今回のケースでは、「以前は部屋の中心部(基礎の無い鋼製束の部分)が早く沈んでいたのが、その後、部屋の周囲の基礎のある部分の沈下スピードが、鋼製束のある部分よりも大きくなった。」
結果としてシーソーのように高さの関係が入れ替わった可能性があります。
結論:床鳴りが消えた理由
今回、再訪問時に床鳴りの音が消えていたのは、「床下の隙間がなくなったこと」が原因だと思われます。

以前はお部屋の中央部分の土間コンクリートが下がって、床下の部材に隙間ができることで、少し遊びが生まれていたと思われます。
そのことが原因となって床鳴りしていると考えられました。
しかし、さらに地盤の状態が変化して、今度は中央部分の床が押し上げられた(周囲の床が下がった)ことで、床下の隙間がギュッと圧迫され、音が鳴り止んだのだと思われます。
実際に、私がお伺いする前に、何回か家を建てたところに床鳴りを見てもらっていたようです。その時には、床下に鋼製束を追加で設置していました。床下のゆるみをなくすために行っていたものと思われます。
今後の懸念事項
今後は、もしかすると床の盛り上がりのほうが気になるときが来るかもしれません。
そんな時には、まずは床下の鋼製束の高さを調整してみることで改善するか試してみます。
鋼製束の調整だけでは、おさまらない場合は、床の上から、ビス止めして、床板を押さえ込む必要があります。その場合、ビス穴が目立ちますので、その部分を補修する必要があります。
修理した後においても、不同沈下(家の場所ごとに地盤の沈み方が違う現象)がおさまらなければ、また同じことが繰り返される可能性が残ります。
最後に
家は完成したあと、少しづつですが常に変化しています。
家の状態に気になることがあれば、まずは、建てたところに相談するのが良いかと思います。(家の保証とも関係しています。他の会社が家の構造部分に手を出すと、どちらからも保証してくれないリスクがあります。)
わずか9ヶ月で7mmもの変化が起きるという事実は、私にとってもすこし驚きの出来事でした。
また、同時に地盤の大切さを感じさせられました。
関連記事
不同沈下で窓の鍵がかからない!調査と対策についてはこちらからお願いいたします。


